うつ病予防のためには絶対的な理解者が必要

「常に気分が下がっていて、楽しいことがない」
「仕事のストレスで毎日がしんどい」
「日中ボーっとしてしまい、何もやる気が出ない」

このような症状が続く場合は注意が必要です。気持ちが落ち込んでしまったり、ふさぎ込んでしまったり、自分では気づかないうちに心のダメージは募っていくものです。

本記事では、あなたがもう一度元気を取り戻すために、精神科病院勤務の筆者が以下の内容を解説していきます。

  • うつ病予防には絶対的理解者が必須
  • うつ病予防のための4つの心得

ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

うつ病予防には自分の絶対的理解者が必要

筆者が定義する「絶対的理解者」について、以下のとおり解説します。

  • 絶対的理解者とは?
  • あなたの今の気持ち
  • 絶対的理解者が気づくべきあなたの体調変化

うつ病を未然に防ぐためには、自分のことをよく知ってくれて一緒にいて安心できる人が必要です。

詳しく見ていきましょう。

絶対的理解者とは?

何があってもあなたの味方でいてくれる人と筆者は定義しており、以下の4つの要素を兼ね備えている人が該当します。

  • 共感:あなたの感情や意見に共感します。あなたの気持ちを理解し否定せずに受け入れます。
  • サポート:あなたの置かれている立場や状況を尊重し支援します。
  • 信頼性:安心してなんでも話せて、会話内容や個人情報を決して外部に漏らしません。
  • 客観性:あなたに対しての接し方がオープンで、必要に応じて客観的なフィードバックができます。

絶対的理解者に当てはまる人は以下のとおりです。

・家族
・恋人やパートナー など

心の距離の近さをあなたが感じられる人かどうかがポイントです。

あなたは今どんな気持ち?

あなたが今、当てはまる状態を以下に挙げます。

  • 悲しみや絶望感:長期間にわたる悲しみや絶望感があり、日常生活での興味や関心が持てない状態です。
  • 無気力:やる気が出ない、何をするにもエネルギーが感じられない状態です。
  • 睡眠の質の悪さ:日中ずっと眠かったり、逆に不眠に悩まされたりします。
  • 食欲の変化:食欲がなくなったり過食に走ったりします。
  • 集中力の低下:仕事や日常生活のタスクに集中できなくなります。
  • 自己の過小評価:自分を過小評価し自己嫌悪感を抱いてしまいます。
  • 将来への希望の喪失:未来に対して悲観的になり何も良いことが起こらないと感じてしまいます。
  • 人との関わりの拒否:社交的な場や人との交流を避けるようになります。
  • 孤立感:孤立していると感じ、周りとのつながりが薄れていく感覚に苛まれます。
  • 身体的な症状:頭痛や胃腸の不調などの身体的な症状が現れます。

このような状態であれば精神的に不安定のサインなので、絶対的理解者に話を聞いてもらうべきです。

絶対的理解者が気づくべきあなたの体調変化

以下の状態に気づいてくれて気にかけてくれる人がいれば、あなたの絶対的理解者になってくれるかもしれません。

身体症状精神症状
・外に出たがらず家に引きこもりがちになる・人との会話を避けがちになる・口数が減る・体調を崩しがちになる・元気がない・情緒が安定していない・考えがまとまっていない・上の空になっている

自分では意図していなくても、人から指摘されて気づくケースはあります。
あなたの小さな変化に気づいてくれる人を大切にするべきです。

うつ病予防のための心得

自分の心の安定を保つための考え方を4つ紹介します。

  • 居場所はここだけじゃない
  • 自分を大切に思ってくれる人は必ずいる
  • 自分は悪くない
  • 頭の中が整理されている

一つひとつみていきましょう。

居場所はここだけじゃない

あなたは強い孤独感にさいなまれ、心は常に雨が降っている状態かもしれません。

大事なのは世界はとても広く、自分が今辛いと感じているその世界は、実は大したことないと強く認識しておくことです。

意識を外の世界に向けましょう。具体的な対策として「趣味や好きなこと、心が休まることを見つける」のを筆者は推奨します。趣味つながりのコミュニティーに入り、勇気を持って自分自身を出してみるのもいいでしょう。

自分を大切に思ってくれる人がいる

今までの人生を思い返した時に「この人は自分のことをよく分かってくれているな」または「分かろうとしてくれているな」と感じた経験はないですか?

おそらく少なくとも1人は思い当たる人が出てくるでしょう。

そして、その人の顔を思い浮かべながら以下の考え方を頭に染み込ませてください。

  • 自分が悲しんでネガティブになっていたら、「分かってくれている」その人も悲しい気持ちになる。
  • 自分のことを大切に思い理解しようとしてくれ、悲しんでくれている人がいる。自分にはしっかり価値があるし、存在が肯定されている。

今あなたに必要なのは「本当に理解して肯定してくれる人」です。

自分は悪くない

あなたは決して悪くありません。大事なことなのでもう一度いいます。どんな事情があれ、あなたは決して悪くないのです。

ではなぜ今の状態が起きているのか?答えは一つだけで「あなたがいい人だから」です。

「いい人」については後ほどのQ&Aで述べていますが、世の中はあなたが思うほどいい人で溢れているわけでもないし、ハッピーな事象ばかりではありません。当然ですが、嫉妬や憎悪などが原因で腹黒いことを考える人もたくさんいます。

このような世の中で生きていかないといけない以上、必ずしも「いい人」で居続ける必要はありません。
人への接し方を考えるのは、自分自身を守るために必要なのです。

頭の中が整理されている

脳内が漠然とした不安で占められている状態を解消するために、一つひとつ考えを整理していきましょう。

「このままの状態がずっと続くと思うと気持ちが落ち込む」「現状を変えたいけどどうしようもできない」など堂々巡りになってしまうケースは多いです。

このような場合は、一つ一つ問題解決をしていきましょう。

たとえば、問題に対してAという策をうち「ダメだったらBでいこう。それでもダメだったら今度はCかDだろうか」と考えると脳内が整理されていきます。

絶対的理解者に思考の整理を手伝ってもらいながら、柔軟に物事を捉えていきましょう。

うつ病の予防に関するQ&A

筆者がよく受ける質問を2つ紹介します。

うつ病になりやすい人の特徴は?

うつ病の原因は遺伝的要因やストレスだと言われています。
遺伝的要因には性格が関係しており、メランコリー親和型と呼ばれる人は注意しましょう。
メランコリー親和型の人の特徴を以下に6つ記載します。

  • 几帳面
  • 真面目
  • 責任感が強め
  • 柔軟性に乏しい
  • 人の目を気にしがち
  • 1人で抱え込みがち

これらの症状をもつ人は基本的に「いい人」です。

筆者が病院で対応する患者さんも「人当たりがいい、物腰が柔らかい人」が多い印象です。
しかし、心にかかる負担を自分だけで抱え込んでいたら、いずれキャパシティオーバーになってしまうので、状況によって「いい人」からの脱却をするべきです。

うつ病になる一歩前の段階は?

適応障害といい、ある特定のストレス要因に対してうつ病と似た症状がおこります。
しかし、特定のストレスから離れられれば状態は元に戻っていきます。

うつ病になってしまう前に絶対的理解者を見つけて、元気な状態になるのが大切です。

愛をもって接してくれる人と一緒にいよう

あなたに今必要なのは「絶対的理解者」です。
それは家族なのかパートナーなのか、もしくは言葉で定義するのは難しい人かもしれません。
いずれにしても、あなたが心から安心し信頼し何があっても裏切らない人がそばにいれば、状態はよくなっていくはずです。

本記事では、うつ病予防について以下の内容を解説してきました。

  • 必要なのは絶対的な理解者
  • 大切な4つの心得

この記事があなたの心に響き「絶対的理解者」を見つけて少しでも今の状態がよくなるのを願っています。

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この記事を書いた人

薬剤師。大学卒業後、調剤薬局→派遣勤務(治験コーディネーターや製薬メーカーでの薬相談窓口対応)→精神科病院勤務。医療ライターとしても活動中。うつ病などの精神疾患を予防・再発予防するための発信をSNSで「薬を飲まないためのメンタルヘルス」として行っている。

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